エコロジーの思想を現代アートで表現するオラファ―・エリアソンの展覧会。麻布台ヒルズギャラリーの開館記念として開催されています。
鑑賞だけでなく体験を通じて、身近なはずの自然現象のもつ力とその美しさを再発見しリフレッシュできました!
■ギャラリーのインスタレーション
会場に入ると真っ赤な光の世界が広がりました。ガラスの多面体がゆっくり回転し、中から放たれる光が空間一面に幾何学模様を映し出していました。
タイトルにある”マグマ”はそのものですが、”蛍の生物圏”は実際には小さい蛍の光の影響力ということかしら。
回転しながら風に揺られる水の粒に光をあてたインスタレーション。私たちの時間は一瞬として同じではないと実感します。床のタイルに水が落ちる音も不規則なゆらぎの和音となって響き、五感が刺激されました。
4点の水彩画はグリーンランドの氷塊の欠片を紙におき、溶け出した氷と顔料が交じり合った作品。清涼な空気をイメージするグリーンランドですが、色と形が付くことでにわかに生き物が生息する気配が漂います。
下にある3つの振り子の動力でテーブル上の円盤とペンを回し、画を描くしかけ。体験付きのチケットを購入していたので、私もやってみました(右写真)。最初に円盤を手で横とナナメ上下に回し、あとは振り子に任せます。だんだんと形になっていくリサージュ曲線にワクワク♬
エリアソンの作品はギャラリーのほか、パブリックアートとして森JPタワーのロビーにも(無料です)
■上を見上げるとパブリックアート!
展覧会のタイトルでもある作品。素材は、通常はリサイクルしにくい再生亜鉛を使っています。タイトルは「生の循環や命の周期を意味する」とのこと。サスティナビリティの具現化といえるでしょう。
エコなエリアソンスタジオとのコラボキッチン
ベルリンにあるエリアソンのアトリエでは、「食べる」ことに関わるエコロジーや人の繋がりを大切にすることにも取り組んでいます。今回はスタジオ・オラファー・エリアソン・キッチンとのコラボで地階に期間限定のカフェ『THE KITCHEN』が設けられ、ランチやスイーツを楽しめるようになっていました。
ランチタイムはビュッフェスタイルとプレート料理の両方があります。私はビュッフェの方で。メニューはCO2 の削減をめざす地産地消の野菜料理。日本特有の麹も調理に取り入れています。どれも素材が生きた美味しい料理でした!とくにキャベツを焼いてうま味を引き出し、各種のソースでいただくお料理はお代わりしちゃいました。
🍙ビュッフェのメニュー🍙 大根スープ/甘酒と人参とわかめのラぺ、梅風味/ひよこ豆のピリ辛サラダ/グリーンサラダ、ヴィネグレットとレモンフムス/酒粕とヨーグルト・味噌のカボチャサラダ/レンコンと人参のきんぴら/ジンジャーガーリックキャベツ、レモンケッパーソースと甘味噌ソース/ポテトパン/玄米と黒米のおにぎり/ブラウニー/静岡県産有機和紅茶 *ビュッフェ3800円はギャラリーチケット提示で1000円引き
お土産は『THE KITCHEN』の隣のグッズショップで、香川県の寶月堂さんによるエリアソン作品の形の和三盆+金平糖を。さすがに上品な口どけでした!!
2020年の展覧会『ときに川は橋となる』(東京都現代美術館)に比べると作品数は少なかったですが、目で観て、手で動かして、舌で味わうという様々な体験ができました。
自分自身も周囲の人々も環境も、かけがえのない生命体だということを感覚的に受け取れる展覧会でした!