かつてディオールのデザイナーだったジョン・ガリアーノが、現在クリエイティブディレクターを務めるメゾンマルジェラのイベントに寄りました(渋谷)。
権力の濫用をテーマにした映画『シネマ・インフェルノ』の上映と、その衣装であるコレクションを中心にしたインスタレーションの2部構成。手の込んだファッションショーを、現代版ボニー&クライドに乗せたという印象でした。
会場の入口。渋谷PALCOのナナメ前あたりで若い世代が多く行きかうエリアです。
地下で映画が上映されています。映画館の前もインスタレーションの一部。
スクリーンは一面ですが、天井、壁、床が鏡面になっているので四方に映像が映り込んでいました。観客は床に直座りするので、没入感が凄い!
=『シネマ・インフェルノ』ストーリー=
舞台はアメリカ南西部。親の結婚で義理の兄妹となったカウントとヘンは愛し合うようになる。結婚は道義的に許されることではなかったが、加えてヘンは義父から性的虐待を受けており母親もヘンに対して支配的。いざこざの中で両親を殺してしまった2人は車で砂漠を逃走する。瀕死のカウントとともに、現実なのか幻覚なのか、追っ手の恐怖にさらされながら絶望に向かう。
1階は『シネマ・インフェルノ』の世界観を表すインスタレーションでした。
鉄骨やパイプが張り巡らされた高い位置に、威圧感のある姿が浮かびます。
2人が逃走する車が突っ込んでくるよう。2人のピュアな心を踏みにじるかのように、ハロウィンのかぼちゃが笑っている。
回想シーンの主人公ヘン。うさぎ耳と鳥モチーフのドレス。ドレスの裾飾りの素材は黒のビニール袋とか。
バッグは「5AC」。2016年にメゾン・マルジェラでガリアーノが初めて手掛けたアイコンバッグ。
手術室のドクターとナース。医療への問題提起が込められているそうです。
会場の風景。インスタレーションの衣装を詳しい解説した冊子もいただきました。
『シネマ・インフェルノ』を振り返るにつれ、親の支配、世間の同調圧力、性的暴力、科学の傲慢など権力のさまざまな側面にも気づかされます。
2007年にオープンしたメゾン・マルジェラ表参道店が、この夏にリニューアルされたそうなので、そちらも訪れてみたい。