ドーラの撮れたDay

漫画や小説の聖地巡礼と街歩きが大好きで、素敵な出会いを楽しみながら写真で綴っています。

『円空仏』展で、漫画『呪術廻戦』でも有名な両面宿儺を見ました

三井記念美術館の特別展『魂を込めた円空仏ー飛騨・千光寺を中心にして』に行きました。円空は江戸時代の山林修行僧で、人々を救済しようと日本各地を巡り12万体もの木の神仏像を彫ったとのこと。

両面宿儺坐像

 

今回の特別展のどころの見どころの1つ、≪両面宿儺=りょうめんすくな≫の頭の部分で、1つの胴体に顔が2つあります。両面宿儺は古来より鬼神や怪物、飛騨地方では英雄として伝えられているとのこと。

この両面宿儺は大人気マンガ『呪術廻戦』で最悪最強の呪いの王として登場し、近頃、急に有名になっているようです。見た目は全く違いますが。

 

 
≪両面宿儺坐像≫の全体。2つの顔、2本ずつの手足を持を持っています。ただ、最初に見たときは、頭が2つあるというよりも、ピカソのシュールレアリズム作品のように別の視点からの像を並べたのかなと思いました。いずれにしても、陰影のはっきりた彫りで自由な造形ですね。

高さ2メートルの神様たち

 

左から2体は千光寺に伝わる護法神(ごほうしん)立像。右から2体は飯山寺に伝わる金剛神立像で、高さ2mを超えます。1つの丸太を縦に4分割し、木心側(木裏)を像の正面として作られたと言われます。

 

 

 

 

勢いのあるナタやノミの彫り痕、なにも塗装しないむき出しの肌に、木の中に宿る魂そのものが姿を現している気がします。

 

千光寺の三十三観音立像、そのほか

 
三十三観音とは、慈悲と救済の観音菩薩が民衆を救済するために変身した三十三の姿のこと。遺されているのは三十一体です。かつては近隣の人々が病気になったとき、像を借り出して病気平癒を祈ったそうです。
 

 
細く線を引いたような目や眉は同じですが、一体一体の表情や体型が異なっています。

 

 

写真撮影は一部のみ可だったのですが、他にも心に残る円空仏がたくさんありました。ゆったり大物感!を醸し出す「柿本人麻呂像」、人頭蛇身でとぐろを巻く形がかわいいフォルムの「宇賀神像」には癒やされました。

 

 

実際に円空仏を見たおかげで、書籍の内容もぐっと身近になりました。『円空を旅する』は漫画家の井上雄彦さんが飛騨を中心とした岐阜、北海道から愛知まで円空の足跡を訪ねた旅の記録で、スケッチ画が素敵です。『円空と木喰』は、円空学会理事長を務められている小島悌次さんがまとめられた書籍で、写真がとてもクリアでした。

今回の特別展は飛騨の千光寺が中心でしたが、やはり円空が仏像を彫った土地を旅したくなります。まずは飛騨に行き、いずれは全国にある円空仏を巡ってみたいです。