ドーラの撮れたDay

漫画や小説の聖地巡礼と街歩きが大好きで、素敵な出会いを楽しみながら写真で綴っています。

『レオ・レオーニの絵本づくり』展、柔らかくて強いメッセージでした

小学校の国語教科書の定番『スイミー』の作者レオ・レオーニの展覧会で、渋谷ヒカリエに行きました。レオ・レオーニの展覧会は時々開かれていますが、今回はどのように絵本づくりをしたか、コラージュなどの技術にも焦点をあてた企画です。
 

 

個性を丹念に描くレオー二の技術

アイデアの豊かさに加えて、生命やモノを唯一無二の存在として、それぞれの個性を大切にする視線をひしひしと感じました。 レオーニの絵本は貼り絵の風合いがとても魅力的で、とくに紙をちぎってつくったネズミの“もふもふ”とした姿に癒やされます。マーブル紙のコラージュや水彩、油彩、クレヨン、色鉛筆などさまざまな素材や技法の違いが見てとれました。

 

 

マーブル模様の紙はフィレンツェの名産品だそうです。素敵です!

 

 

『アレクサンダとぜんまいねずみ』 より。左側はねずみのアレクサンダーで、紙をちぎってもふもふ感を出し、右側がゼンマイ仕掛のねずみなので紙をハサミで切り、冷たい金属を表しています。

 

 

『フレデリック』の制作で用いられたパーツ。これを組み立てるのですね。

ものがたりと絵が一体になって心に染みこむメッセージ

子どもたちへのメッセージも見やすいデザインで各所に見られました。『6わのからす』のコーナーでは「いがみあわないで、話しあう」ことの大切さを、ゆっくりしたリズムで伝えています。 からすと麦畑をめぐって敵対していた農夫が中東の人のような姿で、中東にものどかな暮らしがあったことを思い出していました。

 

ものがたりを追いながら原画を見られたのは、とれも嬉しい機会。谷川俊太郎さんの翻訳も自然に受け止められることばで、まさに「ことばには まほうのちからが ある」!素晴らしかったです。

 

 

 

こちらは会場の足もとに置かれた『ペツェッティーノ じぶんをみつけたぶぶんひんのはなし』からのインスタレーションです。小さな子どもでもわかるように床に置かれ、「あなたはどんなやつ?」と問いかけています。そして大きな文字で「ぼくはぼくなんだ!」の答え。「自分はかけがえのない自分だ」というメッセージは、レオ・レオーニの最初の絵本『あおくんときいろちゃん』から一貫して作品に流れる哲学ですね。

 

【あらすじ】自分をとるに足りない小さな部分品だと思っていたペツェッティーノ。自分はだれの部分品なのかを確かめるために、友だちを訪ね、とうとう海をわたることに…。(レオ・レオーニフレンズ公式より)

 

紙の絵本が立体に~レオ・レオーニの空間を体感

会場には映像インスタレーションを使って絵本の中に入り込んだような空間も。『スイミー』の巨大な映像スクロールは大きな海の中をいっしょに泳ぐようでした!

 

 

『スイミー』のはじまり。小魚を同じ形のスタンプで表しているところが象徴的です。名も無い小さな魚たちが懸命に生きている様子がかわいい!

 

 

仲間からはぐれたスイミーの大冒険の場面です。水彩画のやわらかい透明感が、照明の効果でいっそう映えます!海に差し込む光に海藻や生き物たちがキラキラと。

 

 

『スイミー』のクライマックス。大きな大きな海の中ではスイミーがとても小さく、でも逞しいことに、いつも感動してしまいます。

 

 

レオ・レオーニは1910年にオランダで生まれ、グラフィックデザイナーとして活躍したのち、1959年に初の絵本『あおくんときいろちゃん』を出版。絵本のほか油彩画、彫刻、版画などの制作を手がけました。

 

 

≪平行植物≫レオ・レオーニが生み出した架空の植物群です。不思議な植物の姿に、想像がどんどん広がっていきます。

 

≪フレデリック≫の案内

 

 

グッズもいろいろあり、大きなぬいぐるみが欲しいところでしたが、今回は文房具に。

夏休みの子どもたちと一緒に、楽しい時をすごしました。また、どこかで🐭