京橋のアーティゾン美術館の隣に戸田建設の超高層ビル「TODA BUILDING」が11月にオープンし、アートスペースがあるので寄ってみました。
オリジナルのプログラム「APK PUBLIC」
1階、2階では、パブリックアート・プログラム「APK PUBLIC」を展開。飯田志保子のキュレーションにより、テーマ「螺旋の可能性──無限のチャンスへ」を掲げ4人のアーチストの作品が展示されていました。
エントランスロビーの巨大な吹き抜けには持田敦子作品≪Steps≫。階段状のアートが空間を自在に飛び回り途中で途切れている、いえ、途切れているのではなく目に見えない次元に繋がっているのかも。タイトル「無限のチャンス」とは、そういうことかしら。
天井の丸い装置と合わせると、ミロの作品のように音楽的♪
2階から見たところです。うねうねと体をゆらしながら上昇していく竜神のようでもあります。
2階のアートスペースに展示された小野澤峻 《演ずる造形》。1時間ごとに上からつるした6個の球体が振り子のように回り、球体の形作る円の大きさが変化します。工場の生産ラインの機械のように綿密に設計されているとは思いますが、空気の流れや光によって軌道が微妙に変わって見えました。
2階の回廊部分に並ぶ毛利悠子 ≪分割された 地震動軌跡模型 I≫シリーズ4点のうちの最初の作品。地球のエネルギーを具現化した地震学者の模型に着想を得たそうです。事前の情報がないとわからなかったですが、黄色い作品では内側にもつれていたエネルギーが、作品を追うごとに外に向かう様を感じることができました。
4つのギャラリーが集結したギャラリー・コンプレックス
「TODA BUILDING」3階は、4つのギャラリーが集結したギャラリーコンプレックスになっています。展示数は少ないものの、各ギャラリーのこけら落しだけあって見ごたえがありました!
◆Yutaka Kikutake Gallery
奈良美智と北海道の作家たちによるグループ展「ささめきあまき万象の森」を開催中。
奈良美智作品。頭に獣を被った森の化身?
渡辺北斗作品。北海道に伝わる神話や民話から着想を得た独自の木偶を創作されているとのこと。この4体は北海道の森に棲む王の家族なのかな。
◆KOSAKU KANECHIKA
十三代三輪休雪の「エル キャピタン」展が開かれていました。
三輪家伝来の白萩釉を用い、萩焼の伝統を継承しながらダイナミックで斬新な造形を取り入れた作風で、国内外で高く評価されています(展覧会資料より)
荒々しい岩肌に真っ白な雪が降り積もるような美しい姿✨ツバキもぴったり。
焼き物は偶然性の高い創作と言われますが、作品のどの部分を注目しても味わい深い!土は自然の一部であり、作家が媒介者となって、その自然の魂を外界に出現させているのでしょう。
◆タカ・イシイギャラリー
手前の木彫が勅使河原蒼風作品、壁に五木田智央作品、他にも荒木経惟、森山大道など大御所の作品が多く、贅沢な展示でした。
6階のミュージアムは『アニメ「鬼滅の刃」柱展』
6階は広いミュージアムになっていて、オープニングはなんと『アニメ「鬼滅の刃」 柱展 ―そして無限城へ―』。やはり大人気で、この場だけは池袋のような雰囲気でしたね。今回は、鬼滅隊の最高剣士である「柱」にフォーカスしたイベントです。
私も遊郭編まではアニメを観ているので、それなりに楽しめました。「鬼滅の刃」のはハイライトは、なんといってもアクションシーン。観ている側が無重力感に陥るほどに、登場人物たちが空を回転するんです。自分が立っているのは天井か?壁か?といった錯覚が、とんでもないスピードで押し寄せてきます。
今回の柱展でも、天井の高さを生かした圧倒的なスケール感。普段は見られない原画を多用しているところも、ファンには嬉しかったのではないでしょうか。
天井から垂れ下がる原画の帯!!
柱たちの躍動する原画を分解写真のように吊した演出は、アニメの動きが速いだけにむしろ新鮮!来年公開の無限城編のセットも歩けました。
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「TODA BUILDING」のオフィスエリアはこれから稼働するようで、食品大手の味の素の本社が2026年春に移転してくるとか。地下3階地上28階建ての複合用途ビルとして京橋の一大センターになりそうですね。