初めての祇園祭。ちょうど村上隆展が京都で開かれていたこともあり、出かることにしました。前祭の宵山(16日)、山鉾巡行(17日)が見られる日程で2泊3日の旅です。
宵山で四条通の賑わいにどきどき
宵山の日の夕方、四条烏丸についたら大きな山鉾が並んでいて、おおっ!とテンションがあがりました。屋台も立つとあって人々が続々と集まってきます。
≪月鉾≫ちまきを並べたりして準備に忙しそう🥋
≪函谷鉾(かんこほこ)≫ 函谷鉾は16世紀のベルギー製毛綴織の前懸で飾られていました。16世紀のベルギーはネーデルランドと呼ばれ、南部は毛織物の盛んだったフランドル地方。かつて美術展で観たみごとなタピスツリーを思い出しました。たしかに、山鉾は”動く美術館”と称されるだけあります!
歩行者天国は18時からなので、山鉾の横を何事もないように車が通っています。不思議な気もしますが、祇園祭はそうやって各時代の中にあったのですね。
≪鶏鉾≫ 中国の史話「諫鼓(かんこ)」に基づく鉾で、平和をテーマにしています。鉾の見送には、やはり16世紀のベルギー製毛綴織で飾られ、ホメロスの叙事詩『イーリアス』の一場面が描かれているそうです。残念ながらよく見えなかったですが。*見送とは、背面を飾る幕のこと🖼
一部の山鉾では観光客も上がる(乗る)ことができ、順番を待つ人たちが長い列を作っていました。
細~い綾小路通も山鉾と屋台が並ぶ
≪綾傘鉾≫ 柳小路通に置かれています。棒振り囃子は疫病退散の踊りで、ぜひ観たかったのですが、踊りが観られる場所の待機列がもの凄くて次の機会に。
≪綾傘鉾≫ 現在の山鉾の形態が完成する前からの古い形の傘鉾だそうです。
≪泊牙山≫ 綾小路通にあります。中国の琴の名手泊牙が自分の琴の良き理解者だった友人の訃報を嘆き、斧で琴の弦を断ったという故事にもとづくそうです。
泊牙山の会所は杉本家住宅に置かれています。泊牙の故事にちなむ琴などが展示されていました。
泊牙山の会所の展示
杉本家住宅の屏風展・薄明かりに浮かぶ屏風絵の幽玄
重要文化財の杉本家住宅 では、住宅の特別公開とともに「祇園会 屏風飾り展」が開かれていました。予約ができたので午後7時の回に参加。杉本家の方のご案内で、趣ある京町家のしつらえをじっくり味わいました。写真撮影はスマホでのみ可でした。
≪扇と書物図屏風≫
照明を最低限にした室内で観る屏風は、絵柄が浮かび上がったり角度によって色が変わったり。昔は月明かりとろうそくの灯の中で夜を過ごしたので、そのような自然光の風情を考えて描かれたのでしょう。この屏風も舞う扇が神秘的。
俵屋宗達筆≪秋草図屏風≫
谷崎潤一郎の陰翳礼讃を表すような世界。座って夜の音を聞きたい。
外国からのお客様も、静かな京の雰囲気を味わっていらっしゃるようでした。
新町通で日本神話とヴェネチアに遭う
≪岩戸山≫日本神話「天の岩戸」「国生み」をテーマにした曳山です。
≪岩戸山≫.の見送 岩戸山の会所に展示されていました。皆川康藏作「ヴェネチア図」(左)と「日月龍百人唐子遊文図」(右)
西洞院通は動くカマキリが大人気
≪蟷螂山(とうろうやま)≫ 周辺は子どもがひときわ多くて大賑わい。スマホを掲げる大人たちの目線は上に向かっています。
御所車の上には、なんとカマキリが!しかもからくり仕掛けで時々動きます。
蟷螂山は「蟷螂(とうろう)の斧を以て隆車の隧(わだち)を禦(ふせ)がんと欲す」という中国の故事にちなんでいるとのこと。
古来より四条西洞院には公卿四条家があり、南北朝時代に足利義詮(よしあきら)軍に挑んで戦死した、四条隆資の戦いぶりが「蟷螂の斧」のようであったことから、四條家の御所車にその蟷螂を乗せて巡行したのが始まりだそうです。
おみくじもカマキリが動いて運んでいました。羽がぱっと開いたりして小さな子どももビックリ。
鉾町エリアの近くにある三井ガーデンホテル京都四条に宿泊したので、帰路は安心でした。人通りの少なくなった路をゆっくりと散策。少し前の時間までの賑わいが嘘のように、ひっそりと厳かな闇につつまれました。
初めての祇園祭、初めての宵山。この日だけで25万人が訪れたそうです。祇園囃子が響き、23基のきらびやかな山鉾と路という路に屋台と人があふれ、本当に夢を観ているようでした。
さて、明日は山鉾巡行です。
(はじめての祇園祭2に続きます)