ドーラの撮れたDay

漫画や小説の聖地巡礼と街歩きが大好きで、素敵な出会いを楽しみながら写真で綴っています。

映画『ムーンライズ・キングダム』とアルディと

『ムーンライズ・キングダム』リバイバル☘☘

ウェス・アンダーソンが監督した2013年公開の『ムーンライズ。キングダム』を観ました。全国10カ所、1週間の限定でしたが、スクリーンで観られるのは貴重な機会。

少し変わった少年と少女の逃走劇で、なんと言っても少年少女たちが魅力的✨

そこに関わるブルース・ウィルス、エドワード・ノートンといった大人たちの演技がさすがでした!

ロケーションも衣裳もアンダーソン監督らしい洗練された可愛さ🍄 

懐かしのフランソワーズ♬

音楽も凝ってました。60年代アメリカの設定ですが、フレンチポップスのフランソワーズ・アルディのレコードが出てきてビックリ。少女はフランスからレコードを取り寄せて、レコードと弟から無断で借りたプレイヤーを抱えて逃げているんです。月ののぼる浜辺で♪恋の季節をかけながら踊るシーンも。

これには震えました。アルディは私もかつてよく聴いていて、アンニュイな雰囲気に憧れ、歌詞の翻訳もトライしたほどですもの。

もう、アルディというだけでおしゃれ感が凄い🎀

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アルディは1961年のデビューで、以来ずっと活動し2018年には新譜もリリースしています(Personne d'autre (誰もいない) Parlophone)。

日本では、1979年にテレビドラマ『沿線地図』でMa jeunesse fout l'camp(邦題「もう森へなんか行かない」が使われました。

youtu.be

邦題「もう森へなんか行かない」ってなんだかロマンチックですよね。原題は「私の青春は立ち去ってしまう」という意味です。この曲を聴いていた当時は私も20歳前後でしたので、“童話に出てきたお菓子の森に行けない”、つまり“もう夢を見ている年齢ではないのね”とメランコリックになったものでした。

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ところが、フランスにはオトナのエピソードが!
この曲は童謡「私たちは森に行かない」が下敷きになっていますが、「みんなで踊って気に入った子にはキスしましょう」という歌詞。それを作詞したのがルイ15世の公妾の立場で政治にも介入したポンパドゥール夫人でした。身分が低かった夫人は、ルイ15世に近づくために王が狩りをする森で待ち伏せしていたそうです。

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なんだか欲望と野心の森みたいです。その森にポンパドゥール夫人は「行かない」しかも「私たちは」となると、やはり深読みしたくなります。

いずれにしても、輝いた季節の終わりを連想させられる曲でした😥

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映画ではこの曲は流れませんでしたが、少女のお気に入りがフランソワーズ・アルディだったというのは!!アンダーソン監督恐るべしです。

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<ウエス・アンダーソンすぎる風景展>より