リメイク版アニメ「どろろ」では、百鬼丸の弟・多宝丸が入江に現れた巨大なカニの魔物と戦う場面があります。加賀と越前の国境近くの吉崎御坊跡から眺める北潟湖は、湖から日本海に注ぐあたりが見えます。
多宝丸が「民を想うよい君主になろう」として魔物退治の策を考えた丘と、イメージが重なります。
吉崎御坊から北潟湖を望む
この日は晴れ・雨・雷が交互にやってきてビックリしましたが、地元の方のお話ではよくあるお天気なのだそうです。遠くに日本海が見えます。
吉崎御坊跡の蓮如上人像。高村光雲作だそうです。吉崎は浄土真宗中興の祖・蓮如上人が、1471年から布教の拠点とした地です。応仁の乱より続く混乱の時代、一揆の嵐が吹き荒れる中で、この御山から民を見つめていらしたのでしょう。
吉崎東別院にある太鼓楼付近から階段で、御坊跡に登ります。建物はありませんが、御本堂跡の近くに蓮如上人が腰掛けたという石が残されていました。
吉崎御坊跡の御山のふもとに吉崎御坊記念館があります。その中の七不思議堂に、蓮如上人にまつわる吉崎の民話を描いた竹人形や和紙人形が展示されていました。
「どろろ」と一向一揆
手塚治虫原作「どろろ」は架空の物語ですが、富樫政親が出てきますので時代は15世紀後半と思われます。原作やリ新作アニメでは、百鬼丸と一緒に旅を続けてきた主人公・どろろが、戦いのない世の中をつくるために、農民たちと一緒に武士に立ち向かうことになります。作品では特に詳しく触れられていませんが、時代的に加賀一向一揆を連想させます。
一向宗という名称は浄土真宗のことで、当時の人たちがそう呼んだからだそうです。歴史的には、加賀一向一揆は1488年に富樫政親を滅ぼし、以後100年にわたって「百姓の持ちたる国」と呼ばれる門徒と武士の集団支配による国をつくりました。
吉崎御坊からバスで橋立漁港付近に。
原作でも新作アニメでもどろろは百姓たちと一緒に加賀にとどまり、百鬼丸は1人で旅立って終わります。なんとなく予感を残す作品もありますが。。
どろろと百鬼丸のその後を、いろいろ想像しています。
願望ですが、どろろは商売が上手だし百鬼丸はサバイバーなので、大人になったら再開して2人で大商人になってほしい。これから本格的な戦国時代に突入するわけで、混乱の世はまだまだ続き、「百姓の持ちたる国」もやがて織田信長に滅ぼされます。
できるだけ争いごとから逃れて、2人が自由に海を渡って生きていけたら嬉しいのですけど。
□場所・交通
福井県あわら市
JR加賀温泉駅前から加賀周遊バス「キャン・バス」利用。吉崎御坊蓮如上人記念館前下車